損益通算不適用の包囲網

損益通算不適用の包囲網

黒字と赤字を相殺し、差し引き後の所得に課税をする。

この極めて当たり前の事が、個人の所得税では年々通じなくなってきています。

株式や不動産の売却損失(一定の居住用不動産を除く)は他の所得との通算はできません。

広がる損益通算不適用の包囲網

●1.広がる損益通算不適用の包囲網

サラリーマンが投資用にワンルームマンションを購入しました。

勿論大半は銀行からの借入れです。

初年度はこの利息の他に諸経費もかかり赤字決算、これを給与と通算ができれば税金還付で節税に成功です。

ですが、ご存じの通り現在は土地取得に係る利息相当は損失が生じても通算ができません。

建物の減価償却も定額法だけで、サラリーマンのささやかな夢は無惨にもうち砕かれてしまったのです。

それだけではありません。

生活に通常必要でない資産の売却による損失、冒頭の土地・建物や株式の売却で生じた損失も他の所得との通算はできません。

更に、ゴルフ会員権の売却損も現時点ではまだ通算できますが、いずれ規制の対象となるのは確実で、もはや風前の灯火です。

●2.損益通算は当然の考え方

同じ事を法人が行う場合はどうでしょう。

例えば法人が投資目的のオフィスビルやマンションを売却した。

福利厚生のためのリゾート施設を処分した。

これらの売却により損失が生じた場合、本業の利益と通算することに、何の規制もありません。

レバレッジドリース等特殊なケースで部分的に経費化することに制限もありますが、個人に比べれば雲泥の差、相当に恵まれています。


そもそも所得税や法人税は利益が生じた場合、その利益に対して課税をしようとするものです。

利益があれば、税金を負担する能力があると考えられているためです。

従って、経費が収入より過大であったり、大きな損失が生じた場合、利益と相殺するのは極めて自然で、担税力から言っても当然の考え方なのです。

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