相続税の課税方式の見直し検討へ

相続税の課税方式の見直し検討へ

平成20年度の税制改正で「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が創設されますが、実は閣議決定された要綱では相続税の課税方式の改定も検討されることが明記されています。

というのも、従来の「法定相続分課税方式」では限界・問題が発生していることから、「遺産取得課税方式」に改めることが検討されることになり、これは事業承継のみでなく、広く一般にも影響を及ぼす重要な項目です。以下、その内容を整理してみました。

相続税の課税方式の見直し検討へ

● 現在の相続税の課税方式の問題点

現在の相続税は、財産を実際にどのように分けるかに関係なく、相続財産の課税価格と法定相続人の構成や人数によって相続税の総額が決まるという「法定相続分課税方式」です。

各相続人が負担する税額は、相続税の総額を実際の相続割合で按分して決められています。

しかし、この方式では次のような問題点があげられています。

・相続税の課税対象件数が年間4万件を割り込んでいること

・自分だけでなく他の相続人が取得した全財産を把握しなければ、正確な相続税額の計算や申告ができないこと

・今回創設される「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」が適用されると事業承継に関係ない他の相続人の税負担も軽減されることになること など。
 
よって、これらを解決すべく遺産取得課税方式が検討されることになったといえます。

現在の相続税の課税方式の問題点

● 遺産取得課税方式とは?その影響は?

「遺産取得課税方式」は、財産を相続した人ごとに課税財産に直接税率をかけて相続税額の計算をする方式で、財産を多く相続する人ほど高い税率で相続税負担が大きくなります。

この方式による相続税の計算の詳細(基礎控除など)は、これから検討される段階ですが、この方式になると次のような影響が考えられます。

・事業承継に全く関係のない一般の相続に対しても、相続税の納付が発生する可能性があること。

例えば、従来の方式なら課税遺産総額が基礎控除の枠内に収まり、納税の必要がなかったケースでも、「遺産取得課税方式」でそれぞれの相続人が利用できる基礎控除の枠を超えたらその人ごとに相続税を納めることになる。

・それぞれの相続人ごとに納付額を計算できるため、相続する遺産の額が異なる場合、多く相続した人は累進税率の適用によって税金が増え、納付する相続税合計が増えてしまうことがあること

・従来の「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」などの評価の引き下げは「遺産取得課税方式」になると適用を受けた人だけの特典になってしまうこと など。

ただし大きな変革となるため、今後の検討はこれらの調整も合わせて行われるでしょう。

なお、中小企業の事業承継対策である「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」については、税制改正大綱によると平成21年度税制改正での実施とされており、通常なら平成21年3月末までに法律が成立し、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の施行日である平成20年10月1日遡及して適用されることになります。

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この記事へのコメント

1. Posted by kuma   2008年06月16日 09:24
いつも頑張っていますね。
応援していますのでこれからも頑張ってください。
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良かったらどうぞ。

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